問題の根を可視化し、誰もが自分の仕事に誇りを持てる社内風土を

労務管理、研修、ジェンダーバイアス、管理職養成、業務棚卸、女性活躍推進

導入事例詳細

P社は、長い歴史を持つ食品加工業の会社です。

経営上は収益を上げられている一方で、中間管理職となるべき層が育っておらず、また女性社員の多くが出産を機に退職してしまうなど、労働者の労務管理に問題があると社長様は考えておられました。

これは、実は企業の収益モデルが変わったことによって生じた問題です。

高度経済成長期においては早く・安く・大量に商品を供給することによって利益を拡大されていたP社は、トップダウン型のマネジメントの風土が強く、社長様が素早く出した指示を、長時間労働が可能な男性社員がさばいていくという方針でした。しかし、クライアントからも規格の違う商材の発注が増えたことにより、P社の商品ラインナップは倍になり個別に対応していく事案が増え、従来型のマネジメントに限界が来ていました。

また、かつてよりも高学歴な女性社員の採用が進んでいたにも関わらず、従来型のマネジメントでは仕事をさせていたため、女性社員の皆様には残業ができないことを理由に大きな仕事を任せてもらえないという不満がありました。

支援の現場では、まずそのような状況を社長様、役員様からヒアリングし、「何が問題なのか」を共有していただくことから始まります。また、経営陣の事業にかける想いや、社員へどのような期待をしているのかを、きちんと言語化していただくお手伝いをさせていただきます。今回も、経営者様としては、多様化に対応し女性の登用も積極的に推進していく必要性は感じられていましたが、長年の企業風土の転換に踏み切れない、ご自身のジレンマを抱えられていることが分りました。

実地支援として、まず、経営者様に戦略面からは多様化に対応するマネジメント案を提示するとともに、女性が活躍することでもたらされる経営へのプラスの効果をご説明し、まず、経営者ご自身の理解の解像度を高めるとともに、古参の経営幹部の皆様にも同席いただき、経営者様の想いを共有いたしました。

その上で、中間マネジメント層である管理職、管理職候補者への研修を実施。経営方針から、組織のあるべき姿を意識させるワークショップを複数回実施し、理解の浸透を図るとともに、自社の現状と理想状態とのギャップに気づいていただくとともに、職場環境における現状の問題点を具体的に抽出し、改善策を立案するミーティングをファシリテートさせていただき、ボトムアップ型で考える思考訓練を行いました。これは継続して支援しております。

また、ジェンダーギャップの解消を浸透させる意識改革として、それまで女性だけが行っていた就業前の清掃、休憩時間のお茶当番や、あるいは男性だけが行っていた作業や必要に応じた残業などを、性別に応じて慣習的に行いがちだった業務を全部署で棚卸し、会社に必要な業務として、組織の職掌分担に組み入れ、性別に関わらず職務担当者が対応する体制を整え、風土の改善を図りました。この作業により、「名もなき家事」のような細かな労務の廃止も含めた見直しにもつながり生産性も上がる効果が得られました。

その結果、トップダウン型でジェンダーギャップが根強い組織風土を改善することが出来ました。現在では、社員の改善提案が継続的に産み出され、ミーティングにおいても女性社員ならではの観点からの発言も増え、新たに風通しの良くなった社風で、お客様の多様な要望に対し、進んでアイデアの出る好循環が生まれています。